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9月1日 2学期始業式の講話から:卒業生の村田沙耶香さんが芥川賞受賞

2016.09.01

夏休み初日7月20日の朝、前日19日夜に発表された大きなニュースが学校に飛び込んできました。本校の平成9(1997)年度卒業27回生・村田沙耶香さんが『コンビニ人間』で第155回芥川賞受賞です。午前中にNHKと毎日新聞から取材の申し込みがあり、早速、午後には当時の担任だった野島先生に対応してもらいました。正式には芥川龍之介賞といいますが、昭和10(1935)年の初回から81年目で162人目、女性では46人目の受賞です。

村田さんは36歳ですが、受賞者の平均年齢は男女ともほぼ37歳。選考対象となるのは「新進作家」ということで年齢は関係なく、これまでの最年少は19歳11カ月(綿矢りさ 第130回)で、最年長は75歳9カ月(黒田夏子第148回)です。皆さんにも私にも可能性はあります。過去10年(136~155回)で見ると22人中13人と、国内外の政治の世界や社会同様、女性の活躍が目立ちます。特に今回は候補となった5人のうち男性は一人だけでした。リオオリンピックの日本の金メダル12個も女性が7で男性の5を上回っています。

「女性が輝く社会」をつくることは安倍内閣の最重要課題のひとつとなっており、平成26年 10月3日には「すべての女性が輝く社会づくり本部」の設置が閣議決定され、HPには「すべての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、活躍できる社会づくりを進めてまいります。」とあります。

その「自信」に関して、村田さんが20年前の入学時に書いた文章(平成7年度「双松」第23号)に「いつか理想の自分に行きつけたらいいと思う。そしてそのために自分に自信がほしい。自分の自信がもてるくらい、しっかりした確かな何かをこの高校生活のうちで手に入れたいと思う。」と書いていましたが、今の「自信と誇りを持ち、活躍」している村田さん姿はまさに輝いており、同窓生や後輩にとっても誇りであり励みになります。

そもそもテレビや新聞社が母校に取材する芥川賞とはどんな賞なのでしょうか。日本で一番有名な文学賞で年2回発表されています。該当なしや複数の時もありますが、ちょうど1年前の153回にはお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんが『火花』で受賞して大変話題になりました。作品は映画にもなりました。同時に受賞した羽田圭介さんの『スクラップアンドビルト』はNHKでドラマ化されます。受賞は作家としての地位を確立させます。

オリンピックでいうと金メダルにあたるでしょうか。近代オリンピックは1896年第1回アテネ(ギリシャ)に始まり、日本は1912年第5回ストックホルム(スウェーデン)から参加しています。冬季オリンピックは1924年第1回シャモニー・モンブラン(フランス)に始まり、日本は1928年第2回サンモリッツ(スイス)からの参加です。以来、今回のリオデジャネイロまで夏季と冬季合わせて日本が獲得した金メダルは152個です。メダリストはその競技の第一人者となっています。

芥川龍之介賞について贈呈者である公益財団法人日本文学振興会のホームページには次のようにあります。今回の授賞式は8月26日に行われました。

○文藝春秋の創業者・菊地寛(明治21年~昭和23年)が、友人である芥川龍之介(明治25年~昭和2年)の名を記念し、直木賞と同時に昭和10年に制定しました。雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品のなかから、最も優秀な作品に贈られる賞です(公募方式ではありません)。正賞は懐中時計、副賞は100万円。

芥川龍之介の作品を読んだことのある人は多いと思います。「蜘蛛の糸」「鼻」「トロッコ」「杜子春」「羅生門」など、教科書に載っている作品もあります。東大在学中に発表した「羅生門」につぐ「鼻」(1916年)で、ちょうど100年前、師と仰ぐ夏目漱石から絶賛の手紙を受け取っています。明治の二松學舍に学んだ漱石が門下生である芥川龍之介の作品を称賛し、平成の二松學舍に学んだ村田さんが今度は芥川龍之介賞を受賞するなんて、縁とは不思議なものです。

候補となるのは「純文学の中・短編作品」ですが、「純文学」とは何かというと話はややこしくなるのでここでは避けます。「芥川賞のすべて・のようなもの」というHPに、受賞作品を400字詰め原稿用紙で換算したデータがのっています。単独作品での受賞では30枚(第28回「喪神」五味康祐)から300枚(第51回「されどわれらが日々――」柴田 翔)まであります。計算してみると、1回から155回までの平均は126枚になります。

単純に50回ごとに平均を出してみると、1~50が96.8枚、51~100が139.2枚、101~150が132.9枚、まだ5回ですが151~155は182.4枚で、過去10年(136~155回)で見ると153.3枚という具合に当初から比べると枚数は多くなってきています。因みに村田さんの「コンビニ人間」は205枚です。

さて、今日の月は新月で今夜から月はまた光を重ねていきます。季節はすでに秋。だんだん涼しくなり集中力も高まります。受験勉強ももっとも捗るころです。受験生は頑張り、粘り、欲張ってください。受験以外の皆さんには読書に適した季節です。たくさん読んでください。あるいはどうでしょう、とりあえずノートやタブレットに向かってまずは原稿用紙30枚の純文学作品を目指して書いてみるというのは。

実りの秋です。文化祭もあります。日頃の活動を実らせてください。先ほど歌った校歌3番に「努力の若人」とありました。日々の自問自答と努力を重ねて探究してください。

今日は大正12(1923)年の105385人の死者・行方不明者を出した関東大震災の記念日で防災の日。私はと言えば、『方丈記』の元暦の地震を読み返してみようかと思います。

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